元社員が貸与品を返さない場合の対処は?退職後の返却対応と法的手続きの注意点

2026年09月25日

元社員が貸与品を返さない場合の対処は?退職後の返却対応と法的手続きの注意点

退職した元社員が会社のパソコンやスマートフォン、鍵などを返さないままだと、業務だけでなく情報管理にも影響が出ます。

とはいえ、すぐに強く請求したり、貸与品代を給与から差し引いたりすると、別のトラブルにつながることもあります。

元社員が貸与品を返さないときは、会社の所有物だと分かる資料やこれまでの連絡内容を確認し、順序を追って対処することが大切です。

この記事では、返却を求める進め方から法的な対応を検討する目安まで、実務で判断しやすい形で紹介します。

元社員が貸与品を返さないときにまず確認すること

会社の貸与品だと確認できる資料をそろえる

本人へ連絡する前に、その品物が会社の所有物だと確認できる資料を集めておきます。

貸与品台帳、受領書、誓約書、購入時の領収書や請求書、資産管理表などがあれば、品名や管理番号、シリアル番号まで照合してください。

書面が見つからない場合は、貸与時のメールやチャット、社内の申請記録なども手がかりになります。

パソコンやスマートフォンは同じ機種を複数台使っていることもあるため、本人に渡した端末を特定できる情報まで確認しておくと安心です。

こうした資料があれば、「自分の物だと思っていた」などと主張された場合にも、会社側の説明に根拠を持たせられます。

返却されない理由を決めつけるのではなく、まずは何をどのような条件で貸していたのか、事実関係を固めておきましょう。

いつ貸し出したか確認する

貸与品を本人へ渡した時期も、社内の記録をたどって確認しておきます。

入社時に渡したのか、異動や在宅勤務の開始に合わせて追加したのかによって、確認すべき資料は変わります。

貸与品台帳だけで分からない場合は、入社手続きの書類、備品の購入記録、メール、端末の登録記録なども確認してください。

途中でパソコンやスマートフォンを交換しているなら、以前の端末と現在の端末を取り違えないよう注意が必要です。

正確な貸出日が分からない場合でも、推測で日付を決めず、「少なくとも○日時点では使用していた」など確認できた事実を残します。

貸し出した経緯まで整理しておけば、本人が現在持っている貸与品を特定しやすくなります。

返却期限を確認する

会社が想定していた期限ではなく、本人に実際に伝えていた期限を確認することが大切です。

就業規則や貸与品の誓約書、退職手続きの案内に「退職日まで」「最終出勤日に返却」などの記載がないか見直してください。

退職代行を利用したケースや最終出勤日と退職日が離れている場合は、返却方法や期限が本人へ十分に伝わっていないこともあります。

口頭で案内していた場合は、誰がいつ、どのような内容を伝えたのか分かる範囲で記録を整理します。

期限を設定していなかったなら、過去の日付を後から返却期限として扱うのではなく、次の連絡時に改めて期限を示す必要があります。

ここを確認しておけば、すでに期限を過ぎているのか、これから期限を伝える段階なのかを分けて対応できます。

これまでの連絡内容を整理する

すでに本人へ連絡している場合は、そのやり取りを時系列でまとめておきます。

メールやチャット、SMSなどから、返却を依頼した日、本人が返信した日、返却すると回答した日などを整理してください。

電話で話した内容も、通話日時だけでなく、誰が対応し、どのような回答があったのかを記録しておくと経緯が分かりやすくなります。

「郵送した」「紛失した」「会社に置いてきた」といった説明があれば、その内容も残したうえで社内の記録と照らし合わせます。

担当者が複数いる場合は、別々の期限を伝えたり同じ督促を重ねたりしないよう、連絡窓口をそろえておくことも必要です。

連絡履歴が整理されていれば、次に本人へ何を伝えるべきか判断しやすく、弁護士などへ相談する際にも経緯を説明しやすくなります。

貸与品を返してもらうための進め方

まず本人に返却を依頼する

社内の記録を確認したら、まずは本人へ直接連絡し、貸与品の返却を求めます。

メールや書面など、後から内容を確認できる方法を使うと、その後の対応にもつなげやすくなります。

連絡時は感情的な表現を避け、返却してほしい品物と返却方法を具体的に伝えてください。

郵送で返せる物なら送付先を示し、持参が必要な物なら受け渡し方法や担当者も案内しておくと行き違いを防げます。

本人が単に返却を忘れているケースもあるため、最初から強い表現で責任を追及する必要はありません。

まずは返却に必要な情報を分かりやすく伝え、本人が対応できる状態を整えることが先です。

返却期限をはっきり伝える

返却を依頼するときは、「早めに返してください」ではなく、具体的な日付を示します。

期限が曖昧なままだと、本人がいつまでに対応すればよいのか分からず、返却がさらに遅れる原因になりかねません。

たとえば、「○月○日までに会社へ到着するよう郵送してください」と伝えれば、会社側と本人の認識をそろえやすくなります。

郵送に日数がかかる場合は、発送日ではなく到着日を期限とするのかも明記しておくとよいでしょう。

極端に短い期限を設定するのではなく、品物の大きさや返却方法、本人の状況を踏まえて現実的な期間を設けます。

一度伝えた期限は記録に残し、過ぎても返却されない場合に次の対応へ進める判断材料にしてください。

書面で返却を求める

メールや電話で依頼しても動きがない場合は、返却を求める内容を書面にまとめて送ります。

書面には、返却対象となる貸与品、返却期限、送付先、返却方法など、本人が対応するために必要な情報を簡潔に記載します。

すでに何度か連絡している場合は、以前の依頼日や期限にも触れておくと、これまでの経緯が伝わりやすくなります。

一方で、事実確認ができていない損害額を記載したり、刑事責任を断定したりする表現は避けたほうが安全です。

送った書面は社内でも保管し、発送日や送付先が分かる記録も一緒に残しておきます。

口頭だけで督促を続けるより、会社から何をいつ求めたのかを明確に残すことが重要です。

応じない場合は内容証明郵便を送る

通常の連絡や書面による依頼を続けても返却されない場合は、内容証明郵便の利用を検討します。

内容証明郵便は、いつ、どのような内容の文書を、誰から誰へ差し出したのかを郵便局が証明する仕組みです。

貸与品の返却期限や会社からの請求内容を明確に残せるため、これまでより正式な形で返却を求めたい場面で使われます。

ただし、内容証明郵便を送っただけで、相手に返却を強制できるわけではありません。

記載内容によっては、その後の交渉や法的手続きにも影響するため、金銭請求などを含める場合は特に慎重な確認が必要です。

相手との関係や貸与品の価値、これまでの経緯によっては、発送前に弁護士へ文面を確認してもらうことも検討してください。

それでも返却されない場合にできること

貸与品の返却を正式に求める

期限を過ぎても対応がない場合は、これまでの連絡とは分けて、会社として返却を求める意思を明確に伝えます。

対象となる貸与品、返却期限、返却方法、送付先などを整理し、本人が何をすればよいのか分かる内容にしてください。

すでに内容証明郵便を送っているなら、同じ督促を繰り返すのではなく、期限後の状況を確認したうえで次の対応を検討します。

本人から紛失や破損の連絡があった場合も、すぐに金額を請求せず、まず事実関係を確認することが重要です。

会社側の連絡内容や本人からの返信は消さずに保存し、その後の相談や手続きで経緯を説明できるようにしておきましょう。

ここからは単なる返却依頼ではなく、法的な対応も視野に入るため、会社だけで判断しにくい点を切り分けながら進めます。

損害賠償を請求できるか確認する

貸与品が返ってこないからといって、購入時の代金をそのまま本人へ請求できるとは限りません。

損害賠償を求める場合は、どのような義務に違反したのか、会社に実際の損害が生じているのかを整理する必要があります。

たとえば、端末を紛失して回収できない場合と、自宅に保管しているものの返却が遅れている場合では、会社側の損害も同じではありません。

代替品の購入費や業務への影響などを請求の対象にできるかは、貸与時の契約内容や経緯、実際に発生した損害によって判断が変わります。

根拠を確認しないまま高額な請求をすると、別のトラブルにつながることもあるため注意してください。

損害額を決める前に、購入記録や現在の状態、本人とのやり取りをそろえ、必要に応じて弁護士へ確認するのが適切です。

裁判を検討する

督促を続けても返却されず、話し合いによる解決が難しい場合は、民事上の手続きを検討する段階に入ります。

返してほしい物そのものを求めるのか、返却されないことで生じた金銭的な損害を求めるのかによって、手続きの内容は変わります。

裁判では双方の主張や証拠をもとに判断されるため、貸与品台帳や誓約書、返却依頼の記録などを整理しておくことが欠かせません。

なお、少額訴訟は60万円以下の金銭の支払いを求める場合に利用できる手続きであり、貸与品そのものの返却を求める手続きではありません。

金額だけを見て手続きを選ぶのではなく、何を請求したいのか、証拠がどこまでそろっているのかを確認して判断してください。

訴訟には手間や費用もかかるため、貸与品の価値や回収の必要性を踏まえて検討することが大切です。

貸与品の現在価値を確認する

回収や損害賠償を考える前に、その貸与品が現在どの程度の価値を持つのか確認しておきます。

購入価格が高かったパソコンでも、長期間使用していれば、購入時と現在の価値が大きく異なることがあります。

購入日や購入価格、使用期間、型番、状態などを整理し、中古市場での価格や社内の資産管理上の扱いも確認してください。

一方、社員証や会社の鍵、記録媒体などは、品物自体の価格だけでは重要性を判断できません。

情報漏えいや不正利用につながる物であれば、金銭的な価値が低くても早急な回収や利用停止が必要です。

単純な購入価格だけでなく、会社にとって回収する必要性がどこにあるのかまで整理すると、その後の判断がしやすくなります。

回収にかかる費用を確認する

法的な対応へ進む前に、回収のためにどの程度の費用や時間がかかるのかも見ておきます。

郵送で返却できる備品であれば、会社側が返送用の資材や送料を用意することで解決するケースもあります。

一方、何度督促しても応じない場合は、弁護士への相談料や書面作成の費用、裁判を行う場合の費用なども考慮が必要です。

数千円程度の備品を回収するために、それを大きく上回る費用をかけることが会社にとって妥当かは別途判断しなければなりません。

ただし、顧客情報が入った端末や会社の鍵のように、価格だけでは判断できない貸与品もあります。

品物の価値と回収費用だけでなく、情報管理やセキュリティ上のリスクまで含めて対応を決めてください。

弁護士に相談するタイミングを判断する

本人とのやり取りが平行線になったときは、社内だけで対応を続けるより、早めに法律相談を利用したほうがよい場面があります。

返却そのものを拒否している、損害賠償を求めたい、本人から会社側の主張を争う連絡が来ているといった場合は、一度相談を検討してください。

高額なパソコンや機密情報を含む端末が返ってこない場合も、対応を長引かせないことが重要です。

相談時には、貸与品台帳や誓約書、就業規則、購入資料、本人とのメールや書面などをまとめて持参すると事情を伝えやすくなります。

弁護士に依頼するかどうかは相談後に決められるため、まず対応方法や請求できる範囲を確認する目的で利用することもできます。

会社側の判断だけで請求や裁判へ進む前に、法的な争点が生じている段階で専門家の意見を確認しておくと、その後の対応を選びやすくなります。

貸与品代を給与から差し引いてもよいのか

給与から自由に差し引けない理由を知る

貸与品が返ってこなくても、その代金を会社の判断だけで給与から天引きするのは避けなければなりません。

労働基準法第24条では、賃金は原則として全額を労働者へ支払うことが定められており、会社が持つ損害賠償請求権などと一方的に相殺することも原則として認められていません。

「返却しなければパソコン代を最終給与から引く」と社内で決めているだけでは、自由に控除できる根拠にはなりません。

また、労働契約の不履行について、あらかじめ違約金や損害賠償額を決めておくことも労働基準法第16条で禁止されています。

実際に損害が生じている場合は、給与の支払いとは分けて、損害の内容や金額を確認したうえで請求方法を検討します。

最終給与だから自由に精算できると考えず、まず賃金と貸与品の問題を切り分けることが大切です。

控除が認められる条件を確認する

給与からの控除には例外がありますが、会社が就業規則に記載するだけで認められるわけではありません。

税金や社会保険料など法令に基づくもののほか、労働者の過半数を代表する者などと書面による労使協定を結んでいる場合は、一定の項目を賃金から控除できます。

厚生労働省は、労使協定による控除について、社宅費や購買代金など労働者が支払うことが明らかなものを例として示しています。

一方、返却されない貸与品について会社が主張する損害額は、品物の状態や責任の有無などをめぐって争いになることがあります。

そのため、賃金控除の協定があるという理由だけで、貸与品代や損害賠償額を当然に差し引けると判断するのは適切ではありません。

実際に控除を検討する場合は、労使協定の対象項目や請求の根拠を確認し、判断に迷うときは弁護士や労働基準監督署などへの相談を検討してください。

本人の同意が必要か確認する

本人が給与との相殺に同意している場合でも、署名があるだけで直ちに問題がなくなるわけではありません。

裁判例では、労働者が自由な意思に基づいて相殺へ同意したと客観的に認められる場合には、合意による相殺が有効となることがあります。

退職手続きの場で会社から一方的に書面への署名を求めるなど、本人が自由に判断できたか疑問が残る方法は避けるべきです。

相殺する金額やその根拠を本人へ説明し、何について給与から差し引くのかを双方で確認できる状態にしておく必要があります。

貸与品の購入価格をそのまま請求するのではなく、実際の損害や本人の責任についても別途確認してください。

本人との認識が食い違っている場合は、無理に給与から精算せず、返却請求や損害賠償の手続きとして対応するほうがトラブルを広げにくくなります。

パソコンが返ってこないときにすぐ行うこと

社内アカウントを停止する

端末を回収できていない場合は、パソコンそのものより先に社内システムへのアクセスを止めます。

メール、クラウドストレージ、勤怠管理、社内チャット、VPNなど、退職後も利用できる状態になっていないか確認してください。

アカウントを残したままにすると、保存済みの認証情報から社内データへアクセスされるおそれがあります。

共有アカウントを使っていた場合は、元社員だけを停止できないため、パスワード変更やアクセス権の見直しも必要です。

業務上必要なデータが残っていても、アカウントを使える状態で放置せず、管理者側で引き継げる方法を検討します。

退職日を過ぎているなら、返却交渉とは切り分けてアクセス権を速やかに整理してください。

パソコンを遠隔でロックする

会社が端末管理の仕組みを導入している場合は、管理画面から遠隔ロックできるか確認します。

MDMなどの端末管理サービスを利用していれば、紛失時と同じように操作を制限できる場合があります。

ただし、端末がインターネットにつながっていなければ、指示がすぐ反映されないこともあります。

遠隔で初期化できる環境でも、必要な業務データや証拠となる記録まで消えるおそれがあるため、実行前の確認が必要です。

ロックや初期化を行った日時、操作した担当者、対象端末なども社内記録として残しておきましょう。

管理機能を利用していない場合は、無理に外部から操作しようとせず、アカウント停止など実施できる対策を優先します。

パスワードを変更する

本人が知っている認証情報が残っている場合は、必要なパスワードを変更します。

特に共有メール、共有フォルダ、業務システム、Wi-Fi、VPNなど、退職者以外も使う認証情報は見落としやすい部分です。

個人アカウントを停止しても、共有IDとパスワードを知っていれば別の経路からアクセスできることがあります。

同じパスワードを複数のサービスで使っている場合は、一か所だけ変更せず関連するシステムも確認してください。

可能であれば多要素認証も見直し、本人のスマートフォンや認証アプリが登録先に残っていないか確認します。

どの認証情報を変更したか一覧にしておくと、対応漏れを防ぎやすくなります。

アクセス履歴を保存する

退職後に不審な利用がなかったか確認できるよう、各システムのアクセス履歴を保存しておきます。

メール、クラウドストレージ、VPN、社内システムなどから、ログイン日時や接続元、ファイル操作の記録を確認してください。

ログは一定期間が過ぎると削除されるサービスもあるため、問題が起きてから探すのでは遅い場合があります。

不審なアクセスを見つけても、すぐに元社員の行為だと決めつけず、アカウントの共有や自動同期など別の原因も確認します。

保存する際は、画面の一部だけではなく、日時や対象アカウント、操作内容が分かる形で残しておくことが大切です。

情報の持ち出しが疑われる場合は、ログを消したり端末を不用意に初期化したりせず、専門家へ相談できる状態を保ってください。

貸与品を返さない元社員は罪に問えるのか

返却を拒んでいる経緯を整理する

退職後も貸与品を持っているという事実だけで、直ちに犯罪になるとは限りません。

返却を忘れている、返送方法が分からない、連絡に気づいていないなど、故意に返さないとはいえないケースもあるためです。

一方、会社から繰り返し返却を求められているのに明確に拒否したり、貸与品を売却・処分したりしていれば、刑事責任が問題になることがあります。

刑法では、自分が占有している他人の物を横領した場合について横領罪を定めていますが、実際に該当するかは本人の認識や行為を含めて個別に判断されます。

まずは退職日、返却期限、督促した日時、本人からの回答を時系列に並べ、どの段階から返却されていないのかを明らかにしてください。

単に「返してくれない」と整理するのではなく、これまでの具体的な経緯を残すことが、その後の相談にも役立ちます。

会社の所有物だと分かる資料をそろえる

警察や弁護士へ相談する場合は、対象の品物が会社の所有物であることを説明できる資料が必要です。

貸与品台帳、受領書、誓約書、購入時の請求書、資産管理表などから、本人へ貸していた品物を特定してください。

パソコンやスマートフォンなら、型番だけでなく管理番号やシリアル番号まで確認できると、別の端末との取り違えを防げます。

書面が残っていない場合は、貸与時のメールやチャット、端末登録の記録など、会社から渡した経緯が分かる資料も集めます。

本人の私物なのか会社の備品なのかが曖昧な状態では、その後の手続きを進めにくくなります。

返却を求めている品物と会社との関係を、第三者にも説明できる形に整理しておきましょう。

本人とのやり取りを保存する

返却を求めた記録は、元社員が会社からの請求をどのように受け止めていたか確認する材料になります。

メール、チャット、SMS、書面などは削除せず、送受信した日時と内容が分かる形で保存してください。

電話で「返すつもりはない」「すでに処分した」などの発言があった場合は、対応した担当者や日時、会話の内容を記録します。

反対に、「来週郵送する」と回答している途中であれば、その事情も含めて経緯を残しておく必要があります。

一部分だけを取り出すのではなく、会社から何を伝え、本人がどう回答したのかを一連の記録として保存することが大切です。

こうした資料は、犯罪に当たるかを会社だけで決めるためではなく、警察や弁護士へ正確に事情を伝えるために使います。

警察へ相談する目安を確認する

何度返却を求めても明確に拒否されている、売却や処分が判明したなど、単なる返却遅れではない事情があれば警察への相談を検討します。

特に、会社のパソコンや記録媒体が持ち出されたままで、情報の不正利用も疑われる場合は、返却だけでなく情報管理の問題として早めの対応が必要です。

ただし、返却されていない事実だけで刑事事件として扱われるとは限らず、犯罪に当たるかどうかは具体的な経緯や証拠を踏まえて判断されます。

相談するときは、貸与品を特定できる資料、返却期限、督促の記録、本人からの返信などをまとめておくと事情を説明しやすくなります。

犯罪に当たるか判断できない段階でも、警察相談専用電話「#9110」では警察への相談全般を受け付けています。

会社だけで罪名を決めつけて本人へ伝えるのではなく、事実を整理したうえで警察や弁護士へ相談するのが適切です。

貸与品の返却トラブルを防ぐためにできること

貸与品台帳を作る

誰に何を渡しているのか分からない状態では、退職時の返却確認に漏れが生じやすくなります。

パソコンやスマートフォン、鍵、社員証などを貸し出す際は、品名や管理番号、貸出日、利用者を台帳に記録しておきましょう。

端末類は型番やシリアル番号も残しておくと、同じ機種を複数台管理している場合でも特定しやすくなります。

返却された際には返却日や確認した担当者も記録し、貸出中なのか返却済みなのか一目で分かる状態にします。

部署ごとに別々の方法で管理すると確認漏れが起きやすいため、できるだけ管理方法を統一することも大切です。

日頃から記録を更新しておけば、退職が決まってから貸与品を探し直す手間を減らせます。

返却誓約書を用意する

貸与品を渡す際に、返却について書面で確認しておくと、退職時の認識違いを防ぎやすくなります。

誓約書には、貸与する物、会社の所有物であること、返却が必要な時期や方法などを分かりやすく記載します。

「会社が求めたときは返却する」といった曖昧な書き方だけでなく、退職時の扱いまで決めておくと実務上も確認しやすくなります。

ただし、返却しなかった場合の違約金や損害賠償額をあらかじめ固定する内容には、労働基準法上の問題が生じるおそれがあります。

金銭に関する条項を設ける場合は、就業規則や労働契約との整合性も含めて慎重に確認してください。

書面を作る目的は罰則を設けることではなく、貸与条件と返却義務を双方で確認できる状態にすることです。

退職時の返却期限を決める

退職が決まった段階で、貸与品ごとの返却期限を本人へ具体的に伝えておきます。

最終出勤日に返せる物と、退職日まで業務で使う物を分けると、必要な備品を早く回収しすぎることも防げます。

たとえば社員証や会社の鍵は最終出勤日に、在宅勤務用の端末は退職日までに郵送するなど、業務状況に合わせて設定します。

郵送を認める場合は、送付先や発送方法、送料の扱いについても同時に案内しておくと手続きが止まりにくくなります。

口頭だけで済ませず、退職手続きの案内やメールにも期限を記載し、本人が後から確認できるようにしてください。

返却日が明確になっていれば、期限を過ぎた際にも会社側が次の対応へ移りやすくなります。

返却確認の担当者を決める

返却を誰が確認するのか決まっていないと、本人は返したつもりでも社内で所在が分からなくなることがあります。

人事、総務、情報システムなどから窓口となる担当者を決め、返却状況をまとめて管理してください。

パソコンは情報システム担当、鍵は総務担当というように確認者が分かれる場合も、最終的な返却状況を一か所で把握できる仕組みが必要です。

退職手続きのチェックリストに貸与品の項目を設け、確認が終わるまで担当者が記録を更新すると抜けを防ぎやすくなります。

本人への連絡も窓口をそろえておけば、異なる担当者から別々の返却期限を伝えてしまう事態を避けられます。

貸し出す段階から退職時の回収まで担当を明確にし、記録と実物を照合できる流れを作っておくことが重要です。

まとめ

貸与品が返ってこないときは、何度も催促する前に、誰に何を貸したのか、いつまでに返す約束だったのかを確認しておきましょう。

そのうえで、返却する物や期限、送り先を本人にはっきり伝え、それでも返してもらえなければ書面での請求や弁護士への相談を考えます。

パソコンが返ってこない場合は、端末の返却を待つだけでなく、社内アカウントの停止やパスワード変更も早めに行ってください。

今回の対応が終わった後は、貸与品の記録や退職時の返却ルールも見直し、次の退職者が出たときに同じ問題が起きないよう備えておくことが大切です。

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